【注目市場】世界のパールジュエリー市場が年13.2%成長へ——その理由と今後の展望
近年、パール(真珠)ジュエリーが世界中で再び注目を集めています。最新の市場調査によると、パールジュエリー市場は2021年に128億ドルと評価され、今後2031年までに420億ドルへと急成長する見通しです。年平均成長率はなんと13.2%。これは宝飾業界全体でも非常に高い水準の成長率です。
では、なぜ今、パールジュエリーがこれほどの勢いで拡大しているのでしょうか?
パールは、その控えめな美しさと自然由来の上品さから、かつては「フォーマル」なイメージが強い宝石でした。しかし、最近では若い世代やファッション感度の高い人々の間でも、カジュアルやストリートファッションと合わせるスタイルが広がり、日常使いされるジュエリーとして再注目されています。
また、持続可能性や自然素材への関心が高まる中で、「天然の産物」であるパールに対する評価も見直されているのです。
販売チャネルを見ると、オンライン市場の成長が目立っています。SNSやインフルエンサーによるプロモーション、ECサイトでのブランド展開など、従来の百貨店や専門店に頼らない販売方法が広まり、世界中の消費者にパールジュエリーが届くようになりました。
特にアジア太平洋地域では、経済成長とともに中間層が拡大し、ジュエリーへの支出が増加。新興市場としてのポテンシャルが大きく、市場の成長を牽引しています。
成長が見込まれる一方で、課題も存在します。まず、消費者の間で「養殖真珠=偽物」という誤解が一部に根強くあります。実際には養殖真珠は自然な真珠の成長を人為的に助けるだけであり、れっきとした本物の真珠ですが、この誤解がブランドや小売店にとっての障壁となっています。
また、養殖が盛んな淡水パールにおいては、過剰な生産が環境負荷を高めるリスクも指摘されています。サステナビリティを重視する今の時代、環境に配慮した生産体制やトレーサビリティ(産地情報の開示)などが、今後の競争力の鍵となるでしょう。
これからのパールジュエリー市場では、「伝統 × イノベーション」の掛け合わせがカギを握ると考えられます。たとえば:
こうした取り組みが、世界中の新しい消費者層を惹きつけていくでしょう。
パールジュエリー市場は、今まさに大きな転換点にあります。伝統的な価値観に加え、現代のライフスタイルや価値観に合った提案がなされることで、今後さらに多様な層に受け入れられていくでしょう。ジュエリービジネスに関わる方、ブランド開発を考えている方にとっては、今こそがチャンスのタイミングです。